読書
こんばんは、Clariceです。本は好きですが、何時間も読みふけるというような読書スタイルはとらなくなりました。心と時間の余裕あるときに、2~3冊をなんとなく併読するというような適当ゆるスタイルです。最近はもっぱら睡眠導入剤として。今年出会った本は…
梨木 香歩『鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布』新潮社(2021) 「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす、人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結び付いた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など、人の営みを巡る…
中島京子『夢見る帝国図書館』文春文庫(2022年5月) 上野公園のベンチで出会った喜和子さんが、作家のわたしに「図書館が主人公の小説」を書いて、と持ち掛けてきた。二人の穏やかな交流が始まり、やがて喜和子さんは終戦直後の上野での記憶を語るのだが・…
篠田節子『肖像彫刻家』新潮文庫(2022年4月) 芸術家の道を諦めた中年バツイチの正道。心機一転、八ヶ岳山麓に移住するが、本場イタリア仕込みの腕を振るった女神像は、あらぬ場所に置かれてしまう。それでも注文には心を込めリアルな彫像を造った。だが、…
谷崎由依『鏡のなかのアジア』(2021)集英社文庫 九つだけの家が建ち、shito、shitoと雨の降る村へ、出稼ぎから男が帰ってくる。だが、家にいたのは女房と、顔中に髭を生やした熊のような男。 もしかして俺はほんとうは死んでいて、あの見知らぬ男がおれの…
中谷美紀『オーストリア滞在記』(2021)幻冬舎文庫 ドイツ人男性と結婚し、想像もしなかったオーストリアでの田舎暮らしが始まった。朝は、掃除と洗濯。午後には買い物に。当初はお肉屋さんに行くも注文が伝わらず、動物の鳴き真似をしたことも。晴れた日に…
梨木 香歩『ピスタチオ』筑摩書房(2014) 緑溢れる武蔵野にパートナーと老いた犬と暮らす棚(たな)。ライターを生業とする彼女に、ある日アフリカの取材の話が舞い込む。犬の病、カモの渡り、前線の通過、友人の死の知らせ……不思議な符号が起こりはじめ、…
塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』新潮文庫(1982)時はルネサンス期。大小の都市国家が群雄割拠するイタリア半島の地で、その統一を果たそうとする男チェーザレ・ボルジア(1475-1507)の生きざまを描いた歴史小説。 十五世紀末イタリア…
◇はじめに 私も学生時代は少女漫画、読んでました。小さいころは、それこそ『ちゃお』や『なかよし』を読んでましたが、ある時から歴史ものの少女漫画の魅力に取りつかれました。私にとっては親世代の作品ばかりですが、一時期たくさん家にありました。 ここ…
こんばんは、Clariceです。 「バーチャルブロガー」というワードで検索してみると、意外と他にもいらっしゃるようですね。しっかり方向性を定めれば、収益化にも繋げられるようで面白ーい!と思いました。 でももちろん、バーチャルユーチューバーと比べて活…
梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』(2004.5) 角川文庫 時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり… それはかけがえのない時間だった。 だがある日、…
皆川博子『U』文藝春秋(2020/11) 17世紀初頭、爛熟のオスマン帝国に徴用されたキリスト教徒の少年三人。ムスリムに改宗させられ、ポーランド・リトアニア軍との戦いに赴く。そして20世紀、第一次大戦の最中、ドイツ帝国誇るUボートを巡り、極秘作戦が開始…
森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』読みました。以前から友人におすすめしてもらっていたのをようやくです。懐かしかったです。私自身、京都の大学生だったので、まさにそのころを思い返しました。同じ学部の友達や、サークル仲間なんかとしょっちゅう…
こんばんは、Clariceです。ようやく読みました。ミヒャエル・エンデさんの『モモ』。 雑誌や、ブログの読了記事で知り、ずっと気になっていたのをようやくです(^^) ーcontentsー ◆あらすじ ◆本を読むにも、読み時があったり ◆時間のゆとり、心のゆとり ◆物語…
こんばんは、Clariceです。 また本が増えてきたので、本棚を整理しました。 私は基本的に本は読んだら、感想をこのブログにアップしたり、好きなフレーズを読書ノートに書き留めて、 そのあとは売ってしまいます。 ストーリーものの小説なんかは滅多に読み返…
こんばんは。今夜は私の好きな文章を集めてみました。詩や物語の静謐な世界へご案内です。写真は、撮りためたものから少し。 バラの季節ですね。 バラモチーフは、大好きです。 ◇◆◇わたしが生まれたのは 七兆年の昔でした そのときわたしは 一本のあやめでし…
一條次郎『動物たちのまーまー』 耳を澄ませ。何かが聞こえる――。テノリネコが膨らむ音が。徘徊するネコビトたちの呟きが。貝殻プールのラッコの水音が。盗んだトウモロコシをゆでる熊のご機嫌な鼻歌が。そして、吸血鬼(バンパイア)の奏でる陽気なラグタイ…
中野京子『そして、すべては迷宮へ』 文藝春秋, 2021/03/09 「怖い絵」シリーズなどで絵画鑑賞に新たな歓びを提示してきた著者による、 知的ユーモアにあふれ、ときにスリリングなエッセイ集。 『怖い絵』や『名画の謎』シリーズで絵画鑑賞に新たな視点を提…
こんにちは、Clariceです。とあるポイントがたまっており、失効寸前ということで本を買ってきました。 _人人人人人人_ > 3000円分 <  ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄え。。それっぽっちとなりますかね。いえいえ、私にすれば祭りです(^ω^)普段はメルカリやブックオフの…
堀川アサコ『大奥の座敷童子』講談社文庫(2016) 時は黒船来航に揺れる徳川家定の治世。 奥州にある野笛藩一の美女、今井一期(イチゴ)は貧する国許を救うため、野笛出身の座敷童子を連れ戻すべく、大奥へ奉公に上がる。出没する”枕絵の妖怪”や人が死ぬ際に泣…
こんばんは、寝る前に少し雑談です。私は職場の休憩時間には、本を読みます。チームの皆さんと食堂で昼食をとったあと、仕事が始まるまでの15分程度です。 先日、主任が何読んでるのーって話しかけてくださいました。ブックカバーをつけているので、通りすが…
小川洋子『密やかな結晶 新装版』(2020.12.15) その島では、記憶が少しずつ消滅していく。鳥、フェリー、香水、そして左足。何かが消滅しても、島の人々は適応し、淡々と事実を受け入れていく。小説を書くことを生業とするわたしも、例外ではなかった。あ…
パトリック・ジュースキント(訳・池内紀)『香水 ある人殺しの物語』文藝春秋 (2003) 18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩きまわることができるほどの嗅覚──。異才はやがて香水調合師…
この門を過ぎれば なげきの市この門を過ぎれば 永遠の哀しみこの門を過ぎれば ほろびゆく命 いと高きもの 全能なるもの 永遠なるものを のぞけばこの門の前に ひれふさぬものなど どこにもいないこの門に入ろうとするものよ すべての望みを 捨てよ すべての…
一條次郎『レプリカたちの夜』新潮文庫(2020) 「とにかくこの小説を世に出すべきだと思いました」伊坂幸太郎激賞、圧倒的デビュー作。動物のレプリカをつくる工場に勤める往本は、残業中の深夜、動くシロクマを目撃する。だが野生のシロクマは、とうに絶滅…
こんばんは、Clariceです。ダメでした。河出文庫の二階堂奥歯さん『八本脚の蝶』、去年購入したのに全部読めませんでした。私は、この本が美しい装丁と名声によって、ただただ美化されていることが、どうしても恐ろしいのです。 目覚めなさい。現実から目覚…
山尾悠子『飛ぶ孔雀』文芸春秋(2020) 石切り場の事故以来、火が燃えにくくなった世界。真夏の夜の庭園の大茶会で火を運ぶ娘たちは、孔雀に襲われる。一方、男は大蛇が蠢く地下世界を遍歴し―。煌めく言葉が奇異なる世界へと読者を誘う。不世出の幻想作家に…
塩野七生『想いの軌跡』 新潮社(2018) 地中海はインターネットでは絶対にわからない。陽光を浴び、風に吹かれ、大気を胸深く吸う必要がある―。単身ヨーロッパに渡り、思わぬきっかけで作家デビューを果たして半世紀。歴史的大ヒット作となった『ローマ人の…
『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 (2014)メイソン・カリー著、金原瑞人/石田文子訳 161人の天才たちの「意外?」「納得」な毎日の習慣。 小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督…彼らはどうク…
今回は、アルゼンチンの幻想作家ボルヘス(1899-1986)の作品をいくつか読んだうえで、個人的に好きだと感じた短編を紹介したい。ボルヘスの話は、空想とも過去のエピソードとも知れない不思議な語り口が面白いのだ。この記事を通してボルヘスの描く幻想世界…