『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 (2014)メイソン・カリー著、金原瑞人/石田文子訳
161人の天才たちの「意外?」「納得」な毎日の習慣。
小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督…彼らはどうクリエイティブを保っていたか?
フランシス・ベーコン、モーツァルト、リスト、ショパン、ゲーテ、マルクス、ヘミングウェイ、アインシュタイン、カフカ、フィッツジェラルド、ゴッホ、マティス、村上春樹…
いつだったかネットで感想記事をちらりと見てから、ずっと気になっていた一冊。
帯には、このような文句が。
このような内容はごく一部であり、本を開いてみると、161名のルーティーンについて、一人あたり2-3ページほどで書かれている。
圧巻である。
著者と、この本について
著者のメイソン・カリーは、ペンシルベニア州ホーンズデール生まれの雑誌編集者、フリーランスのライターという経歴を持つ。
彼は、この本のことを自身のブログ「デイリー・ルーティーン」が元となり、出版に至ったものだと謝辞にて述べている。
なるほど文章が簡潔で記事を読む感覚で、すらすら読めたのだった。
参考文献、引用文献の膨大さにも目を見張った。
ボリューム満天で、最高に楽しめる一冊。
お気に入りの項目
いちばん印象に残っているのは、作曲家のエリック・サティ(1866-1925)についての項目だ。
サティといえば、「ジュ・トゥ・ヴー」が最も有名だろうか。
グノシェンヌやジムノペディも好きだな。
パリのモンマルトル地区で生まれ、労働者階級の住むパリ郊外の街
アルクイユに移り、死ぬまでそこで暮らしたサティ。
彼は、毎日まったく同じデザインの服装に身を包み(地元の人々は彼を「ビロードの紳士」と呼んだらしい)、馴染みのカフェに寄りながらパリの中心街まで10キロ近く歩き、友人と会っていたという。
研究者ロジャー・シャタックは、サティの音楽の独特のリズム感は、同じ景色を延々と歩き往復したこと、に由来するのではないかと。
感想
効率よく仕事できる時間帯は、十人十色なんだということを改めて実感した。
私は、朝活大好きな典型的な朝型だが、そうでない人もやっぱりいる。
集中力が長く持続する人もいれば、短期集中型の人もいる。
歴史に名を残す天才も同じ人間なんだなぁと親近感が湧いた。
時々出てくるツッコミどころの多い変わったルーティーンも最高だった。
アマゾンのレビューなどを見ていると、飽きるとか単調だとかいくつか書かれていたが、順番にすべて網羅しようとするからじゃないかと。
正直161人の天才の中には知らない人物もちらほらいたが、そこは時々とばしながら読んだ。
この手の本は、ショートショートやエッセイ的な読み方が最適だと感じる。
そんな朝読書におすすめしたい一冊。