◇はじめに
私も学生時代は少女漫画、読んでました。
小さいころは、それこそ『ちゃお』や『なかよし』を読んでましたが、ある時から歴史ものの少女漫画の魅力に取りつかれました。
私にとっては親世代の作品ばかりですが、一時期たくさん家にありました。
ここにあげた10選は、どれもとても好きだった作品です。
私の、ささやかな教養ってこれらの作品から得たものなんじゃないかな笑
それぞれのストーリーとおすすめポイントを添えます。
1,『天は赤い河のほとり』/篠原千絵(1995-2002)
主人公ユーリが、古代オリエントのヒッタイト帝国にタイムスリップする物語。
ヒッタイトの皇帝ムルシリ2世や、エジプトのラムセス1世がヒロインをめぐって激闘を繰り広げます。
考古学的ロマンがつまっており、古代オリエントの勉強になります!作者さんの想像力が驚異的です。
2,『有閑倶楽部』/一条ゆかり(1981-)
超お金持ちのご子息令嬢(美男美女)が集う、有閑倶楽部。
頭脳派、肉体派等々トンデモなスペシャリストばかりで、そのど派手な振る舞いから、いつもはちゃめちゃな事件に巻き込まれます。
爽快感マックス。あとビビるくらい勉強になります。世界情勢とか絡んでくる。耽美なこち亀。
3,『砂の城』/一条ゆかり(1995)
舞台はフランス。
ヒロインの美女ナタリーが身分違いの恋人フランシスと結ばれず、心中しようとしたが、あえなく失敗。離れ離れに。
ナタリーは、記憶喪失となったフランシスと再会するも、フランシスには他の女との子供ができてしまっていた!そして、彼は目の前でトラックに轢かれる。
フランシスの妻も、夫のあとを追い、自殺。
ナタリーは、その息子を「フランシス」と名付け、引き取る決意をする。息子フランシスは、美人のナタリーに憧れ、魅かれる。
ナタリーは、息子フランシスが自分のもと恋人である亡きフランシスに似ていく成長ぶりに「これは自分のエゴだ」と苦難する。。ドロドロ。
繊細なタッチで描かれるフランスやアメリカの景色。洋画を見ているような気分で読めます。
少女漫画至上、一番好きな作品。この悲恋は、もはや芸術。
4,『はるか遠き国の物語』/碧ゆかこ(1986-1993)
アラビアンナイトが強く意識された恋愛ものというより、コメディ色の強い冒険物語。
ヒロインはもちろんお姫様。お相手は盗賊として育った王子。
ネタ要素強めですが、絵が可愛いです。ファンタジーな異国情緒を楽しめます。
ランプの精などのキャラクターが魅力的。軽快でテンポの速いストーリー展開で読みやすいです。
5,『ベルサイユのばら』/池田理代子(1979-1980)
あまりにも有名なフランス革命を扱った物語。マリーアントワネットの生涯を主軸として、スウェーデン貴族のフェルゼン(実在)、男装の麗人オスカル、その従者アンドレたちがなかなか報われぬ恋に苦しむドラマ性が展開されます。
このお話は宝塚の舞台版から入ったのですが、とにかく絵がきれい。人間ドラマから目が話せません。一晩で一気に読んだのはいい思い出。
6,『七つの海七つの空』、『エル・アルコンー鷹ー』、『テンペスト』/青池保子(1977-1978)
三部作のような仕上がりになっています。
主人公はルミナス・レッド・ベネディクトというプリマス出身のお坊ちゃん素人海賊。彼が亡き父の仇であるイギリス海軍将校ティリアン・パーシモンを相手に奮闘する話。
なのだが、本来悪役であるティリアンのほうに重きを置かれて物語は進みます。
ティリアンはイギリス海軍を利用しつくし踏み台にすると、自身のルーツであるスペイン海軍に寝返り、あのアルマダの海戦で主人公ルミナスと決戦を迎えるというシリアスでストイックな歴史もの。
『エル・アルコンー鷹ー』、『テンペスト』のスピンオフではティリアンの過去が描かれ、どうみても悪役ティリアンの話です。
恋愛要素には重きを置かれていないような印象でした。
7,『悪魔の花嫁』/あしべゆうほ、池田悦子(1975-)
デイモス(悪魔)が、美貌のヒロイン美奈子の命を狙いながらも彼女に惹かれていくというホラーファンタジーもの。
デイモスは神話時代に、禁断の兄弟愛によりゼウスの怒りで悪魔となった。デイモスは、冥界に落とされた愛しい妹ヴィーナスを救うため、彼女の生まれ変わりである美奈子の魂を欲しているのです。
短編形式で進んでいきます。美奈子を取り巻く人たちが主人公であり、たいていは不幸になります。美奈子に近づくと確実に、デイモスによって不幸にさせられます。笑
神話のオマージュや、人間のカルマを扱ったブラックで耽美なテイストが刺さりました。妹をとるか、美奈子をとるか、というデイモスの苦難がみどころ。
8,『日出処の天子』/山岸凉子(1980-1984)
聖徳太子こと厩戸王子と、蘇我氏の後継者たる毛人の物語。
飛鳥時代前夜から物語がはじまります。
中性的な美貌の超能力者として描かれる厩戸王子の孤独と、互いに惹かれあう毛人(!?)が、少女漫画チックに描かれている素晴らしい作品。
上の説明だけでは(?)となるかもしれませんが、王子の「超能力者」という設定が伝来したての仏教の荘厳で煌びやかな世界観とマッチしていて、とても説得力があります。
9,『あさきゆめみし』/大和和紀(1979-)
源氏物語の全編を漫画にしたすごい作品。源氏物語といえば個性豊かな女性たちですが、描き分けが素晴らしく目移りしてしまいます。
光る君をはじめとする男性陣も麗しいです。頭中将、夕霧、柏木、匂宮、薫。。
第三部である「宇治十帖」のところも好きです。壮大な三角関係は必見。
こんなに少女漫画として成立するストーリーが平安時代に書かれたってすごくないですか笑