印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

読書

【保存版】古今東西・おすすめの幻想文学をご紹介

こんにちは、読書の秋を堪能しているClariceです(^^♪ 最近、幻想文学にすごい勢いでハマってしまいまして。本記事では、幻想文学と呼ばれるジャンルについて、お気に入りの作家別に紹介していきます。◇目次◇ はじめに 山尾悠子 ホルヘ・ルイス・ボルヘス パ…

薄暗い山奥に見る一夜の幻惑。泉鏡花『高野聖』感想

泉鏡花『高野聖』角川文庫(1954) 飛騨から信州への道中、高野山の旅僧は危険な旧道を選んだ富山の薬売りを追うが、蛇や蛭に襲われ、やっとのことで山中の一軒家にたどり着く。一夜の宿を頼むと、その家の婦人は、汗を流せと僧を川に誘い妖艶な魅力で迫って…

ピュアで美しい、お砂糖細工のような短編集。小川洋子『口笛の上手な白雪姫』感想

小川洋子『口笛の上手な白雪姫』幻冬舎(2018) たとえ世界中が敵にまわっても、僕だけは味方だ。 公衆浴場で赤ん坊を預かるのが仕事の小母さん、 死んだ息子と劇場で再会した母親、 敬愛する作家の本を方々に置いて歩く受付嬢、 ひ孫とスパイ大作戦を立てる曽…

あなたに捧ぐ、私の読書時間の話

おはようございます。Clariceです(’-’*)♪今日は、読書時間についての雑談です。とりとめのないことをつらつらと書いているので、お気軽に読んでください。 私は、会社まで電車で通勤しています。その時間に読む読書タイムが、この世で一番没頭できる、と思っ…

須賀しのぶ『芙蓉千里』感想—時は1900年代。哈爾浜。妓楼・酔芙蓉を舞台に繰り広げられる女郎たちの哀歓—

須賀しのぶ『芙蓉千里』角川書店(2012) 「大陸一の売れっ子女郎になる」夢を抱いて哈爾濱(ハルビン)にやってきた少女フミ。妓桜・酔芙蓉(チョイフーロン)の下働きとなった彼女は、天性の愛嬌と舞の才能を買われ、芸妓の道を歩むことになった。夢を共有…

気分爽快!かなり突飛な学園ミステリ!西尾維新『美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星』の感想

西尾維新『美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星』講談社(2015) 十年前に一度だけ見た星を探す少女―私立指輪学園中等部二年の瞳島眉美。彼女の探し物は、校内のトラブルを非公式非公開非営利に解決すると噂される謎の集団「美少年探偵団」が請け負うこと…

イタリア・ルネサンス期、メディチ家の出からフランス王妃となったカトリーヌ・ドゥ・メディシスの魅力を堪能する― 佐藤賢一『黒王妃』の感想

佐藤賢一『黒王妃』集英社(2020) 彼女は死ぬまで黒衣を愛した──。 現代に続くファッションの礎を築いた王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシス(1519-1589)ルネサンス期、フィレンツェで生まれたカトリーヌ・ドゥ・メディシス。政略結婚でフランス王家に入り、や…

まるで熱に浮かされた夢のよう。精緻な幾何学の幻想世界へ― 山尾悠子『夢の遠近法』を読んだ感想

山尾悠子『増補 夢の遠近法 初期作品選』/ 筑摩書房(2014) 「誰かが私に言ったのだ/世界は言葉でできていると」―未完に終わった“かれ”の草稿の舞台となるのは、基底と頂上が存在しない円筒形の塔の内部である“腸詰宇宙”。偽の天体が運行する異様な世界の…

本好きによる、快適な「メルカリ」ライフのすすめ

今日は私の密かな趣味である、フリマアプリ「メルカリ」について、語りたいと思います。読書好きにとって、本は基本的に増える一方なのです。そして、場所をとります。本棚もすぐにいっぱいになりますし、机に積んでいる本が雪崩を起こす始末…(*_*;以前は、…

ツイッターにあげた「#名刺代わりの小説10選」の解説

先ほど、最近始めたTwitterで「名刺代わりの小説10選」についてツイートしました。皆さん既にご存知かもしれませんが、これが面白いタグなのです。 他の方のツイートを見ていても、10冊の傾向から趣味嗜好が何となく掴めます。 個性が出るので、ついつい人と…

「星の道」をたどるスペイン巡礼の旅を追体験―『アルケミスト』著者、パウロ・コエーリョのデビュー作『星の巡礼』

『星の巡礼』角川文庫(1998) パウロ・コエーリョ/山川鉱矢・山川亜希子=訳 神秘の扉を目の前にして最後の試験に失敗し、奇跡の剣を手にすることができなかったパウロ。残された唯一の道は、「星の道」と呼ばれる巡礼路を旅して、自らその剣を見つけること…

英雄・偉人たちの裏側を垣間見る、贅沢な歴史短編小説集—塩野七生『サロメの乳母の話』

塩野七生『サロメの乳母の話』新潮文庫(2003) ホメロスが謳うオデュッセウスの漂流譚はでっちあげだ!と糾弾する妻ペネロペ。不器用で世渡りが下手な夫を嘆くダンテの妻。サロメの乳母、キリストの弟、聖フランチェスコの母、ブルータスの師、カリグラ帝の…

言葉の美しさ、辞書づくりのドラマに感動。2012年本屋大賞受賞作、三浦しをん『舟を編む』を読んで

三浦しをん『舟を編む』光文社(2015) 出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧…

エキゾチズムの香りがただよう、詩人マックス・ダウテンダイが結ぶヴュルツブルクと大津の絆

ドイツ、ヴュルツブルク生まれの詩人、マックス・ダウテンダイ Max Dauthendey(1869-1918)をご存じですか。 私が、最近知ってから、大好きになった詩人です。代表作は『紫外線』(1893)。 神秘的な東洋風の詩を多く残し、第一次大戦中、旅先のジャワでマラ…

薔薇を赤く塗ろう♪アリスの世界に迷いこみました

見事な赤い薔薇たちに出会えました。 久々の外出です。 本当は紫陽花を見る目的で訪れたガーデンですが、やはり西洋の香りには抗えませんでした…(^^; まるでルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の世界に迷いこんだみたいです。よろしければ、BGMにどう…

原田マハ『サロメ』を読んでー19世紀末ロンドンを描いた耽美で残酷な美術史ミステリー

舞台は、退廃に彩られた19世紀末のロンドン。病弱な青年だったビアズリーはイギリスの代表的作家で男色家のワイルドに見いだされ、『サロメ』の挿絵で一躍有名画家になった。二人の関係はビアズリーの姉やワイルドの同姓の恋人を巻き込み、四巴の愛憎関係に……

恩田陸『光の帝国 常野物語』を読んで―ノスタルジーとSFを同時に味わえる―

『蜜蜂と遠雷』、エッセイ『土曜日は灰色の馬』に続き、3冊目を読了。『蜜蜂と遠雷』とエッセイでお腹一杯になったので、著者の他作品はしばらく期間を空けようかと考えていたが、縁あって手元に届いたので読むことに。 恩田陸『光の帝国 常野物語』集英社(…

世界にはロマンと謎が溢れている!!阿刀田高『新諸国奇談』を読んで、不思議な世界旅行気分を味わう

今回は、「世界の七不思議」というワードに胸を高鳴らせていたあの頃の気持ちになって書きたい。ギザの大ピラミッド バビロンの空中庭園 エフェソスのアルテミス神殿 オリンピアのゼウス像 ハリカルナッソスのマウソロス霊廟 ロドス島の巨像 アレクサンドリ…

『モチーフで読む美術史』のレビュー ~美術鑑賞が数段楽しくなる!!~

この間、本棚に眠っていた読みかけの本を見つけたので、最後まで読んだ。 宮下規久朗『モチーフで読む美術史』1・2巻 初版2013年、筑摩書房本書は、著者が新聞のコラムとして書き連ねた記事が加筆修正され、まとめられたものだ。焦点は、美術作品でよく取り…

優しい死生観を小説で読む~堀川アサコ『幻想蒸気船』読了したので幻想シリーズの魅力を紹介~

待望の堀川アサコさんによる幻想シリーズの最新作、『幻想蒸気船』を読了。今年4月15日に講談社から文庫書き下ろしで出版されたピカピカの本だ。ストーリーの大きなネタバレはありませんが、苦手な方はご注意下さい。著者の堀川さんは和風ホラーとハートフル…

魅惑のアラビアンナイトの歴史に迫る

はじめに 西洋人にとってのオリエンタリズム 中世 近世・近代 ファンタジーとして おわりに はじめに なぜ人はアラビアンな世界に惹かれるのか?ディズニー映画『アラジン』もウィル・スミス主演で実写化を果たし、大人気だった。 音楽、情景描写、衣装、ど…

印象派画家クロード・モネのドラマチックな生涯

はじめに 下積み時代 生活の激変 晩年 おわりに 参考文献 はじめに 「印象派」と呼ばれる画家たちの色彩豊かな絵画は、日本人にとって馴染みが深く、最も人気の高い絵なのではないでしょうか。 以前、クロード・モネの「印象・日の出」を目玉作品とした巡回…

読書ノートのすすめ 〜私流、記録の効果と続けるコツ〜

はじめに 読書記録をとることで得られる効果 三日坊主にならないためのコツ 記録後、本は選別して売ってしまう おわりに はじめに 私は読了後、必ず読書ノートをつけています。思い出はノートに記録するのが大好き - 印象をただよう告解部屋前回、上記の記事…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』を読んで ~自然と音楽の融合について〜

映画化で話題になって、 今更ながらあっという間に読破。 とにかく楽しかった、肩の力を抜きながら読めたという印象だった。 余韻が抜けないので、物語の舞台となるピアノコンクールの模様のネタバレはなしでこの本の魅力と感想を書きたいなと思う。 著者の…

思い出はノートに記録するのが大好き

昔からメモ魔 とにかく記録大好き人間なので、昔から沢山のノートをつけています。 写真は全然その一部にすぎません笑 そのきっかけは、イラストレーター杉浦さやかさんの『スクラップ帖のつくりかた』(2005)を読んだことにはじまります。 アイデアや絵のセ…

続・至高の幻想文学への誘いー2018年泉鏡花文学賞の受賞者、山尾悠子『ラピスラズリ』を読んで

冬のあいだ眠り続ける宿命をもつたち。ある冬の日、一人眠りから覚めてしまった少女がであったのは、「定め」を忘れたゴーストでー『閑日』/ 秋、冬眠者の冬の館の棟開きの日。人形を届けにきた荷運びと使用人、冬眠者、ゴーストが絡み合い、引き起こされた…

至高の幻想文学への誘いー2018年泉鏡花賞の受賞者、山尾悠子『歪み真珠』を読んで

『歪み真珠』筑摩書房(2019) 死火山の麓の湾に裸身をさらす人魚たち、冬の眠りを控えた屋敷に現れる首を捧げ持つ白い娘…、「歪み真珠」すなわちバロックの名に似つかわしい絢爛で緻密、洗練を極めた美しき掌編15作を収めた物語の宝石箱。泉鏡花文学賞に輝く…

アンデルセンの『絵のない絵本』は、夢見心地な西洋版の千夜一夜物語だ

デンマークの作家・アンデルセンの『絵のない絵本』という作品を知っているだろうか 1839年に初版が刊行され、幾度か物語が足されながら、最終的には33話が収録された 簡単なあらすじはこうだ 貧しく孤独な絵描きの青年の部屋に、月が夜な夜な光を差し込み、…

塩野七生『皇帝フリードリッヒ2世の生涯 上』を読んで

1ヶ月半くらいかかってようやく上巻を読破できた。 期待に違わず、最高にアトラクティブな一冊!! フリードリッヒ2世が外交や学芸に優れた教養人であることは、何となく知っていた しかし、 時は12世紀も終わり頃から13世紀にかけて、 ローマ法王の力が最大…

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