印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

【動画】印象ラジオ ドラマパート #4ー千夜と一夜の物語

こんばんは。

印象ドラマの続編です。

今夜も印象をただよう世界にいってらっしゃいませ。


◇動画

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◇全文

やぁ、君が選ばれたのかい。おや?まだ何も知らないようだね。

君は厳正なる審査の結果、「語り部」に選ばれたのだよ。

きみも今日から同胞だ。よろしく。


助かったよ。

最近は人手不足でね。ひとり、またひとりといなくなる。

ま、仕方ないね。選ばれしものの中でも適性のない者はすぐに脱落する。

僕も、もう古株と呼ばれるまでになってしまった。


ん?語り部とは何かって?ああ、すまない。


記憶に携わる仕事だよ。記録、じゃないよ。記憶。

だから、時の為政者の編纂させる年代記とは別だ。

もっと生々しくて、温度を持ったものだ。

何しろ、実際に見聞きし、膨大な情報がそのまま取り込まれたものだから。

それらの断片は僕らがいる限り、永遠に語り継がれる。


そしてそれを綴じるのが、僕らの間で「中央」と呼ばれる機関だよ。

「中央」は取捨選択をしない。ただ、それらを綴じるだけだ。

当然、恐ろしいほどの情報がそこに集まる。

僕らのなかでも、ほんのひと握りの者しかその場所を出入りすることは許されていないんだ。


ふむ。
先輩からの忠告だ。「中央」について下手に探るのはやめたほうがいい。

もっとも、僕らとその間には多くの人物が介在する。たどることなど到底不可能だ。

その先は、とても人が治めている領域とは思えない。

禁忌というのは、どのコミュニティにもあるだろう。

安易に踏み込むものではない。


おや、不安そうにして。
君の役に、特別なことは何もないよ。

君の使命は、ただ、見聞きしたことを君の感性でもって、そのまま上に報告するだけだ。
事実を、捻じ曲げることは許されない。そんなことをすればすぐに見限られる。

逆に、抜けたければいつでも。
僕らは来るものを拒まず、去るものを追わず、だ。


しかし、一度去ったのち戻ってくることはできないよ。

その時点で、これまでの集積は、すべて意味をなさなくなる。

これまで集めてきたものたちは、一瞬にしてそのへんの石ころのように思えるだろう。
周囲に伝えようとも、効力を失った言葉の羅列など、誰も信じない。

そうして、時の流れに削り取られながら、流れ去るというわけだ。

何しろ、希少な原石というのは、偶然にも拾い上げただけじゃだめだ。
大切に持っておいて、ただひたすら愚直に磨き上げることによってはじめて、光を放つのだから。

もし、君にも適性があり、なおかつ優秀であれば、、、
組織から与えられるかもしれない、古今東西、時の権力者が賢者に命じ、喉から手が出るほど欲したものが。



―――――

●…Cross
〇…Clarice

〇あら、どうしたの、ぼーっとして。引継ぎの時間よ。

●ああ、すまない。少し、思い出していた。

〇いつのこと?

●いつだったか。もう忘れた。

〇ますますらしくないわね。組織に尽くしすぎじゃない?ちゃんと寝ないと大きくなれないわよ。

●君はいいな、気楽で。

〇疲れてるのよ。今夜はお休みにすれば?

●なら、朝から働く君はいつ休むんだい。問題ないよ。

〇そーお。



●・・・君はなんのためにこのハコを作った?いつまでこのなかにいるんだい?

〇あら、誰にだって居場所が必要なの。あなただって居心地がいいから、とどまっているんでしょ。

●それでも、君も僕も、いつまでもここにいられない。
もうここらの情報はせいぜい刈りつくした。

はじめに念を押したはずだ。
語り部としての使命を忘れたとは言わせないぞ。

〇あら、同じ場所だからこそ見えてくるものもあるのよ。
いろんな角度から眺めていれば、いくらでも深めることができる。
せっせと土を耕して、お水をやるのよ。そうしていればいつか花が咲くのよ。

●やっぱり君は、お気楽でいい。

〇もう、いつもの皮肉?

●まさか。賞賛だよ。心からのね。

◇あとがき

ドラマパート、ここから一気に佳境を迎えます。

何度も書きますが、くれぐれもこの物語はフィクションです。

ちょっと立体におこした、蒼乃の小説でございます。

はてさてどんなエンディングに収束するのでしょうか。

今回、演出過剰な終わり方になってしまったので、次は早めに公開しようと思います。




今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
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