印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

7月某日のこと

世間の連休は平常通り働いていた私だが、少し前に夏を感じた。


働きすぎの職場の友人も発狂寸前。笑


これは駄目だ。一回リセットしようと、山。

都心部に向かうサラリーマンたちと逆行し、本当に人と会わない方向へ。

車窓からは、ただひたすらに、田んぼと湖が見える。


コンビニが、ない。

こんな場所で生活が営まれてるの、変な感じ。

時間が、呆れるほどゆっくり流れている。

いや、私達がせかせか急ぎすぎてんのよ。となった。

いいじゃないか。


そういえば、友人は待ち合わせ時間に30分遅れてきた。

始まりから一日を示唆していたようだ。



全然問題なし。計画なんてあってないようなもんだ。

行きあたりばったりで良いのだ。

文庫本持ってるし、待つのは全然苦じゃない。


バス。人は乗ってない。

誰も待ってないけど、病院のロータリーをぐるりと回る。良い。

人、いない。

蝉時雨。アブラゼミ。ツクツクボーシ。ヒグラシ。

良い。


f:id:Lavandula-pinnata:20210726000157j:plain


ロープウェイ。動いている。さすがに調べてきた。

景色にはしゃいだ。

高いところに上るのが好きなんだ。

ナンチャラと煙は…、ということを言い合うまでがテンプレ。

さらにリフトに乗る。

極力、足を使わない。熱中症になりたくない。

金に物を言わす。


山頂。

あーあ、日々生きる世界は、なんて閉鎖的なんだ。

ここではなーんも通用しない。


機械音なし。振動もなし。クレーマーもいない。

電話も鳴らない。納期、ない。


最高。

数年ぶりにブランコをこいだ。

誰もいないから、いいのだ。大人が遊んでも。

三半規管の衰えを感じて、笑った。


私、絵本作ってみたいんだ。

友人が言った。

双子の妹が、作家志望で文を書くから私が絵を描く。


いいね、完成したら一番に読ませてねと言っておいた。


やっぱこのこ、自分と似てるって確信。


性格も趣味もまるでさっぱりちがうけど、似てる部分を持ってる。波長が合う。


ミヒャエル・エンデの『モモ』の話をした。

ひぇーと言っていた。


下山。

永遠に登って降りてを繰り返す箱。

友人は、このこたちどんな気持ちなんだろうと言った。(笑いながら)

普段の私達と似たようなもんさ、と言った。

家と会社の往復。

ひぇーと言って、また笑った。ずっと笑いっぱなし。


自動販売機でサイダーを買った。

夏の欠片、切り取った。


f:id:Lavandula-pinnata:20210725235705j:plain


夕暮れにはまだ早い。蝉時雨。人のいないところ。


壮大な自然のなかに身を置くと、人間としての尊厳を思い出す。

等と大袈裟なことを言っては、また笑っていた。


f:id:Lavandula-pinnata:20210725235804j:plain

プライバシーポリシー