世間の連休は平常通り働いていた私だが、少し前に夏を感じた。
働きすぎの職場の友人も発狂寸前。笑
これは駄目だ。一回リセットしようと、山。
都心部に向かうサラリーマンたちと逆行し、本当に人と会わない方向へ。
車窓からは、ただひたすらに、田んぼと湖が見える。
コンビニが、ない。
こんな場所で生活が営まれてるの、変な感じ。
時間が、呆れるほどゆっくり流れている。
いや、私達がせかせか急ぎすぎてんのよ。となった。
いいじゃないか。
そういえば、友人は待ち合わせ時間に30分遅れてきた。
始まりから一日を示唆していたようだ。
全然問題なし。計画なんてあってないようなもんだ。
行きあたりばったりで良いのだ。
文庫本持ってるし、待つのは全然苦じゃない。
バス。人は乗ってない。
誰も待ってないけど、病院のロータリーをぐるりと回る。良い。
人、いない。
蝉時雨。アブラゼミ。ツクツクボーシ。ヒグラシ。
良い。
ロープウェイ。動いている。さすがに調べてきた。
景色にはしゃいだ。
高いところに上るのが好きなんだ。
ナンチャラと煙は…、ということを言い合うまでがテンプレ。
さらにリフトに乗る。
極力、足を使わない。熱中症になりたくない。
金に物を言わす。
山頂。
あーあ、日々生きる世界は、なんて閉鎖的なんだ。
ここではなーんも通用しない。
機械音なし。振動もなし。クレーマーもいない。
電話も鳴らない。納期、ない。
最高。
数年ぶりにブランコをこいだ。
誰もいないから、いいのだ。大人が遊んでも。
三半規管の衰えを感じて、笑った。
私、絵本作ってみたいんだ。
友人が言った。
双子の妹が、作家志望で文を書くから私が絵を描く。
いいね、完成したら一番に読ませてねと言っておいた。
やっぱこのこ、自分と似てるって確信。
性格も趣味もまるでさっぱりちがうけど、似てる部分を持ってる。波長が合う。
ミヒャエル・エンデの『モモ』の話をした。
ひぇーと言っていた。
下山。
永遠に登って降りてを繰り返す箱。
友人は、このこたちどんな気持ちなんだろうと言った。(笑いながら)
普段の私達と似たようなもんさ、と言った。
家と会社の往復。
ひぇーと言って、また笑った。ずっと笑いっぱなし。
自動販売機でサイダーを買った。
夏の欠片、切り取った。
夕暮れにはまだ早い。蝉時雨。人のいないところ。
壮大な自然のなかに身を置くと、人間としての尊厳を思い出す。
等と大袈裟なことを言っては、また笑っていた。