『水の戯れ』、『雨の庭』
水の流れを想起させる音楽を聴くと心が安らぐ
前者の作曲者は、
後者は月の光のドビュッシーだ
どちらも淡くて優しい色味の水彩画を思わせる曲が多い
キラキラと光る水しぶきを思わせる清廉さ、
オリエンタルでエキゾチックな音色、
ときに
独創的な不協和音の連続が妖しくも美しい
そして再び
温かく、どこか懐かしいフランスを思い出す
また、ドビュッシーの
『塔』『アラベスク』には
西洋人が心に描く、
さらさらと流れるような東の国の神秘が
強く映し出されていると感じずにはいられない
ドビュッシーは当時
パリ万博で見聞きしたアジアの音楽や建築から
『塔』の
インスピレーションを得たという
なるほど彼の曲には
アラビアや、ガムラン、ジプシー音楽
これらの旋律を真似たモチーフが
随所に散りばめられているといえよう
ところで、音楽から絵画の話に移るが
同じくパリ万博にて
人気を博したジャポニズムの流行は有名な話
日本庭園を再現した睡蓮の庭を
自宅にこしらえた
自作の庭を描いた
連作『睡蓮』は吸い込まれるような
透明で深い深い水の青をたたえている
このような美しさに思いを馳せていると、
心がすっと洗われるような気がしませんか？
どうやら音楽と美術は
目まぐるしく情報過多な日常から
非日常へと連れていってくれる
心の処方箋のようだ
日常で手っ取り早くこれらに浸りたいときは
机の上に並べている、
モネの睡蓮と日の出のポストカードに目をやり、
ユーチューブの作業用BGMで
彼らの音楽を流す
しごくチープで俗っぽい方法ではあるが
時間さえとれれば
案外何でもいいのである
目と耳で感じる水の美しさにうっとりしながら
ぼーっとするだけでいいのである
丁寧にいれた紅茶があると尚いいな
明日からも頑張れる気がしてくるような
自分だけの時間が、そこには流れているような
