印象をただよう告解部屋

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空想の砂漠をただよう #2 王女に捧ぐ詩

こんばんは、Clariceです。

趣味で書いている小説の一部分を切り取って、コラージュする記事です。


書いていて非常に楽しい、お気に入りの章より。


冒険は現在、第五章。「砂漠の薔薇、昔噺は砂に眠る」という副題をつけています。


今回は、吟遊詩人が、「砂漠の薔薇」と呼ばれる美貌の王女に詩を献上する場面を。


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 星屑を散らしたような夜空が、頭上を覆っていた。この広間は星々が見えるよう、巨大な天窓が設けられている。星や月を愛でながらの宴を好む王女の提案で造らせたものだ。


 昼間の熱気のなかでは考えられないほどの、乾いた夜風が吹き込み、鉢植えから伸びる背の高い木々を揺らした。


 王族、元老院、貴族、後宮に住まう女子供、そして一握りの有力な商人たちが所狭しと広間を埋める。王族の以外の者は、長く長く敷かれた絨毯に直で、皆姿勢よく座していた。


(中略)


 しかし、ほどなくして、どこからともなく詩ははじまった。それは、この国の古語による四行詩であった。皆、周囲を見回すが、どこから聞こえてくるのかまるでつかめない。


 そして、人々はおお、と声をあげた。王女はあっと天井のない頭上を見上げる。空を飛ぶ獣の背にまたがり、件の吟遊詩人が朗々と詩を紡いでいるのを誰もが見た。


 上空には、半月刀の輝きが浮かぶ。零れ落ちんばかりの星々は、詩人をとり巻き、周回していると錯覚する者もいる。


 詩人を背にのせた翼をもつ生き物は、まるで本物の巨大な竜。その漆黒の身体は闇夜に溶け込んでいるものの、力強いはばたきがごうごうと夜風を切る。


 それは、この上なく恐ろしいものとして映ったが、彼らにとって親しみ深い瑠璃鉱石のような瞳を見ていると、そんな畏怖も消え去った。 


 この場、この時において、すべてはまるで一つの巨大な舞台装置のように組み合わさっている。


 詩人は流れるような声で、詩を紡ぐ。砂漠に生を受けし、すべてのもののために。




 王女は陶酔したまま、吐息をひとつ。

「我ら砂漠の民と、宝石、そして宇宙に浮かぶもの。その関係をこのように解き明かしてくれるとは」


(第9話「王女に捧ぐ詩」より)


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ー今夜は、物語の中で、おやすみなさい。よい夢を。




今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪

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