こんばんは、Clariceです。
以前アップした、砂漠について書いた記事の続きです。
lavandula-pinnata.hatenablog.com
上記の記事では、小説を書くうえでの自分の信条らしきものを述べました。
―砂漠を見たことのない人間に砂漠を描けるのでしょうか。
ええ、書きましたとも。空想でなんとか描きました。
今夜は、私の書いた砂漠の世界をおすそ分けです。
それでは遠い異国の、いえ、私の物語の世界へご案内。
詩を読む感覚で、お付き合いいただければ幸いです。
◇
ハークは港に着くなり、見たこともない異国の風土と文化に目を奪われた。
海からは、幅の広い河が街へと続いている。そこから、さらに人の手で整備された運河が何本も走る。交易品は、主に小型の手漕ぎ船で運びこまれていた。
王国の城下町に足を踏み入れても、砂がすべてを支配していた。建物はすべて赤茶けた煉瓦を積み上げて形作られている。
道の端では、半裸の職人集団が座り込んで、煉瓦をひとつひとつ手掛けていた。砂や土を粘土のように扱い、木枠へ流し込む者。均等に並べて、天日干しにする者。その数は夥しい。
◇
「砂漠なんてのは案外気楽なもんだ。遮るものがないから、敵襲は一目でわかる。害獣なんかも少ない。水は井戸を掘るなり、引けばいい。建物の材料なんかはそこらじゅうにあるわけだ」
そう言いながら、ケイトは地面を指さした。なるほど、乾ききった無限の砂粒はこの王国を立体にまで仕上げているようだった。
(第二話「砂の街」)
◇
細い通りに入ると、ひとたび入り組んだ迷路のようになっている。
路地は背の高い建物に囲まれているため、日の陰になり、ひやりとしていた。
このような通りは、奥に行けば行くほど治安が良くない。
ときおり物乞いや浮浪者がむしろの上から、暗い目を向けてくるのがわかった。
その一切を足早に通り過ぎ、いくつかの角を曲がると、また焼けつくような陽光が降りそそぐ開けた通りに出た。
(第三話「騎士団の噂」)
◇
詩人の男が宮殿に向かう道中で脱走した。その恐るべき事実に気づいたのは、一行が宮殿に着いてからのことだった。
その事実をサルビヤ国の女官長に伝えると真っ青になり、これは内密でということになった。
幸いにも、女王との謁見は夜。盛大な宴が催されるために、それまでに連れ帰れば問題はない。できなければ、外交問題にまで発展しかねない事態である。
(第四話「詩人の脱走」)
◇
路地裏にある隠れ家のような建物だった。薄暗く、半地下のようになっている。
その代わりに、宿賃は格安だった。不愛想な店主が部屋の鍵をふたつ差し出し、店先の印象よりはいくらか清潔な二部屋へと案内した。
むき出しの土壁には、鮮やかな朱や緑の染糸で織り込んだタペストリがかかっていた。
(第五話「詩の神と王都の秘密」)
◇
以上にございます。
いかがでしたか。写真はイメージです。
私の空想にお付き合いいただき、ありがとうございました。
異文化に思いをはせるというのは、想像でも楽しいですね。
景色の描写だけ抜粋しましたが、本編では登場人物たちのお喋りがうるさいのなんのって笑
作者がお喋りだと、物語もやはり騒がしくなるのですね(;゚Д゚)
では、今夜はこんなところで。おやすみなさい、良い夢を。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
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