山深い所である。
あたりには雨の匂いが立ち込め、数歩進むごとにひどい坂道が現れる。
こんな山奥を一体、いつ訪れたのか。
そんなことは、さして重要ではない。
晴れ渡った日であれば、かつての都の姿が一望できたであろう。
しかし、この雨である。
展望台からは、霧だか雲だかが地上を覆い尽くしてしまって何も見えない。
やや身を乗り出せば、視界は完全なるホワイトアウト。
じっと見つめていると、龍が顔を覗かせても、おかしくはないと思うのだ。
思わずぞっとして、目を背けた。
紫陽花は、活き活きとしていて喜ばしい。
我先にと、変幻自在な色彩を誇っている。
それにしても、と息を切らす。
坂の多い場所に好んで紫陽花を植えるというのはどういうわけであろうか。
おまけにこの天気。
足を滑らせては、地の果てまで転げ落ちるだろう。
くわばらくわばらと、気を引き締めた。
更に山道を登ると、本堂にたどり着く。
梵字は読めないが、カタカナが振ってある。
古に伝えられた、インドの呪文である。
ご本尊に手を合わせる。
お邪魔します。
よくぞこんな険しいところに、開山したものだ。
今では、車であるところまで登ることができる。
見上げてもまるで届かない鬱蒼とした木々と、濃密な霧に守られた修験道の最奥。
ここには見事な伽藍が。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
この記事は、職場の昼休憩中にアプリから書きました。
最近、残業多くないかい。。?
家でゆっくり書かせてほしいな。
ともあれ、紀行文って憧れますね。