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吉野の桜を見る / 歴史ロマンをたどる旅 #2

弾丸で奈良県、吉野の桜を見に行った。

こちらの記事の続き。
lavandula-pinnata.hatenablog.com

◇吉水神社

吉水神社はもとは吉水院といい、修験道の僧房(僧侶の住む建物)だった。

明治時代に神仏分離が行われ、「吉水神社」と改められたそうだ。

祭神を後醍醐天皇とし、忠臣であった楠木正成もここに祀られている。

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ここから先は拝観料600円で、南朝皇居である書院に上がることができる。

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この建物は、日本最古の書院として世界遺産に登録されている建築。

書院造とは、寝殿を中心とした寝殿造に対して書院を建物の中心にした武家住宅の形式のこと。

書院とは書斎を兼ねた居間の中国風の呼称である。

現在の日本住宅の実例といえるそうだ。


靴を脱いで建物に上がるとすぐに、義経潜居の間がある。

1185年、兄頼朝の追っ手を逃れた義経静御前が最後に過ごした場所だという。

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そして、こちらは弁慶思案の間。


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なんとも重々しい空気がただよっていた。

義経一行が追い詰められたぎりぎりの悲壮感が部屋に残っているかのような展示だった。

吉野山 峰の白雪踏み分けて 入りし人の あとぞ恋しき
静御前 

意味は、「吉野山静御前義経と別れた場所)の峰の白雪を踏み分けて姿を隠していったあの人(義経)のあとが恋しい」

とても切ない歌だ。


義経の妻のひとりである静御前は京の白拍子であった。

白拍子とは頭に男性の装束を着、太刀を腰につけた姿で舞う職のこと。

静御前は女人禁制の大峰に入ることができず、泣く泣く義経と別れた。


鎌倉時代に成立した歴史書である「吾妻鑑」によると、彼女はこののち捕らえられ頼朝のもとに送られる。

頼朝と妻政子に舞を強要され、その場で義経を思う歌を歌ったという。

「吾妻鑑」は鎌倉時代に権勢を誇った北条家によって編まれた。

北条家が編纂したこと、そして当時の記録や伝承をもとにしているという点などを加味すると、史料としては少々信憑性に欠けるものだが、とにかく切ないエピソードである。


弁慶の武装槍の展示もあった。

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そして、こちらは重要文化財に指定されている義経の鎧。


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けっこう残ってるもんなんだなと感心した。

全部本物かどうか正直疑ってしまうレベルの保存状態。

世界遺産認定されているということは、相当の審査が入ったことだろうと思う。


日本人は悲劇のヒーローが好きな傾向があるから、これらのエピソードが好まれるのがわかる。

実際、どこまで美化されたのだろうかと思う。


後世に伝説化する人物というのはとても興味深い。

ほかにも聖徳太子空海安倍晴明天草四郎、、、

後世の研究では、本当に居たのか?みたいな扱いになる人物も。

でも、いたのかどうかというよりは、その人物が担ぎ上げられて祀り上げられるにはそれなりの必要性があったのだろうとは思う。

その過程にも興味がある。


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夏草や兵どもが夢の跡
松尾芭蕉

これは、芭蕉義経がさらに落ち延びた奥州平泉にて詠んだ句である。

藤原氏義経を偲んで歌ったといわれる。


やはり緑のきれいな季節に、平泉にもいかなければなぁと思うのだった。

歴女の探究心は果てない。


ほかにも後醍醐天皇豊臣秀吉に縁のある遺構、遺物が盛りだくさんだったのだが、今回は義経に会いに来たので省く。

今度は、今回行けなかった後醍醐天皇陵とともにしっかり見たい。
南北朝時代も予習してこようと思う。

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絶景かな。

都市の喧騒を離れ、千年ほどタイムスリップしたような気分になる。

◇中千本の桜

そうそう、今回は桜を見に来たのだった。

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ここはいわゆる中千本と呼ばれる。

桜の絶景スポットとして、霊場の入り口近くから奥に向かって、下千本、中千本、上千本、奥千本とある。

今回の旅で来れたのはここまでだった。

一人だったから、あまり山深くに行くのはさすがにちょっと気が引けたのだ。

正直、マイナーな史跡の鬱蒼とした場所は、あやかしでも出そうな雰囲気で怖かった。


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桜はちょっと時期が早かったかもしれないね。

でも満足。

明治時代に普及した華やかなソメイヨシノもいいが、山桜の儚い美しさは日本古代の景色そのものだ。

本当に来てよかったと思う。


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いいな、和歌が溶け込んでいる世界。


次の記事でこのシリーズは完結。

美味しかったものとか面白エピソードについて書く予定(*'ω'*)




今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
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