こんばんは。
お待たせいたしました。
今回はドラマパートその3、Crossサイドです。
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やぁ、また来たのかい。懲りないねぇ。。
ん?何をしていたのかって?後ろを見てくれ!
職務室に時計を設置していたんだ。
これから内部のからくりをいじって時間を合わせなければならない。
案ずるな、僕の得意分野だよ。
しかし、どうしてこんなにとっ散らかっているんだ、ここは。
僕の相棒は整頓というものをしない。。
だから、記録や情報が錯綜するんだ。
そういや、clockという言葉は、ラテン語で鐘を意味するcloccaが語源だったね。
機械仕掛けの時計は、もともと宗教活動のために必要とされたのだから。
「祈り、かつ働け」ってね。
ベネディクト修道会のモットーだ。
そういや、1789年におきたフランス革命では革命政府が時間の単位を作り替えたのだったね。
それで暦に飽き足らず、時間の単位まで変えてしまったというわけだ。
1週間を10日とし、1日は10時間、1分は100秒と、すべて十進法としたんだ。
革命政府による突然の宣言が、
シトワイヤンに、シトワイエンヌを大混乱に陥れたことは想像に難くない。
結局、ナポレオン・ボナパルトが皇帝に即位したのち、グレゴリオ暦にもどったそうだ。
皇帝ナポレオンはカトリック教会と和解したかったのだろう。
おっと、また昔の話を。
ま、僕は自分で言うのもなんだが几帳面なんだ。
懐中時計を手放さない。いつもコートに入れて持ち歩いているんだよ。
時間を守れない奴はビジネスでは信用されない。
え、腕時計をつけないのか?
…
君はそれを持っているのかい!?
あの最新式の腕に巻く時計だろう?
ドイツ皇帝のヴィルヘルム1世が、海軍に支給したことは話題になった。
軍部にしか流通していないはずだ。
君は、軍の回し者か?誰に指示された?
ふん、なんてな。冗談だよ。
君は軍人の目をしていない。
僕にだってそれくらいわかるさ。それに、こんな辺鄙なところに用などないだろう。
ここで野暮なことを聞くのはナンセンスだよ。
それはお互い様だ。
腕に時計ね。実用面でも実に機能的だ。
・・・・・
だが、戦争によって技術が飛躍的に発展し、普及するということほど、
皮肉なことはないね。
そのような装備品としての時計と、無線技術が用いられ、
時刻をぴったり合わせた複数個所からの、一斉砲撃が可能となった。
今、各国の思惑はまるで絡み合っている。行動はすべて、利害によってのみだ。
それぞれに帝国の存亡がかかっている。
うん、なんだって?君はまるで未来人のような物言いをするな。
これから起こることなど、誰にもわからないのだよ。
わかるのは、人類のたどってきた、まるで繰り返しの歴史だけだ。
疫病に、戦に、飢餓。
それに翻弄された挙句、世界は現在このような姿をしている。
人間の功罪だ。
何者かにすがりたくもなる。
何?「イデオロギー」?
そのような言葉は知らないな。
僕は哲学に関しては門外漢でね。
ま、君が言わんとしていることはわかる。
確かに、そのようなものの対立によって、争いは消えないのだろう。
これからもね。
さて、今日もよく働いた。
もう朝だからまたClariceと交代だ。
・・・
はぁ?来訪客の少ない夜にやることなど、そうそうないだろうって?
失敬だな。
昼時よりやることはある。
やることが膨大すぎて気が遠くなる。
おっと、引継ぎの時間だ。
悪いが、、今日のところはこのへんで勘弁してくれ。
だが、また来るといい。
今度はClariceも交えて語らおうじゃないか。
あいつはそのテの話となると、別人のようになるから面白いよ。
それから、今度はその軽量化された腕時計の仕組みについて、教えてくれ。
ではね。また会おう。