講習というほどでもないんですが、荷物引き取りのときにハンドリフトの扱いは必須ということで、幾度となく操作方法を人に教えてきました。
そうそう、現場猫によく登場するアレ。
しかし、なかなか慣れないうちは狭い通路で立ち往生してしまったりしてみんな使うのを嫌がります。
早急に助けを求めたら、屈強な男性陣(なんせ驚異の男女比)がとんできて導いてくれるのですが(仕事だからね)、いつまでももたついていると気まずいことになります。
第一に危ない。だから扱いに慣れるまではサポートするのです。
ある日、ハンドリフトビギナーさんが「どうしましょう、リフトのツメがパレットに入らなくて荷物を置いてきてしまいました」ととんできました。
荷物で通路をふさいでしまっているのでなんとかしてください、とのこと。
リフトの規格が違うやつを入れようとしているからではないかな?
と一緒に見に行くと、座高のひっくい板の上に荷物が山と積まれているではありませんか。
これはあれだ、フォークリフトでパレットごと積み替えてもらわねばどうにもならんということで周囲を見渡し、叫びました。
「どなたかフォークリフトの資格を持っている方おられませんか!!???」
(首を振る従業員たち)
しばらくしたら資格保有者が戻ってこられたので、ピーッピーッとやって助けていただきました。
またいつでも言ってくれよな、と爽やかにサムズアップ(我々にはこう見える)。
我々は、ワーイワーイありがたいです!と一安心。
そして、自分はビギナーさんにハンドリフトの使い方を改めてレクチャーしつつ、荷物の搬送が完了しました。
◇
山のように積まれた段ボールひとつひとつの重量は凄まじいものがあります。
我々は手も足も出ず、男性陣の応援要請に徹します。
あー。これはClariceさんじゃ無理だねぇ、そんなほっそい腕じゃだめだ、いつもすいませんねーなどと軽口をたたきつつ作業を進めてもらいました。いつもさまさまです。
このようなやりとりに嫌な気持ちになるのは、絶対に違います。
力を貸していただいたのですから、感謝を忘れてはなりません。
そのあいだ、作業の周縁に立ち尽くしているわけにもいかないので、その場はお任せして自分は別の業務にかかります。
◇
これが男女共同社会の現実です。
いくら男女平等を理想として掲げようと、仕事柄そんなのは夢物語と思います。残念ながら。
だって物理的にできる領域が違うんだから。
昨今、第3次産業の比率が多くを占め、自動化が進み、こういう当たり前のことを忘れている人が増えてきているのではと思います。
こういう場では、素直が一番。
適切に助けをお願いするのも、また仕事なんですから。
これをハンディと考えるならば、適材適所、力を貸してもらうまでです。
自分自身の言葉と態度で真摯に伝えて。それが通用しないならばその環境はその程度ということです。
◇
どれだけジェンダーレスな時代になろうと、基礎的な身体能力の違いはそう簡単に克服できるものではないのが現実です。
こうして均衡を保ちながら、担当が誰であれ、いつ何時でも滞りなく回すのです。
力仕事に限らず、臨機応変にお願い上手になるのはけっこう大事なことかもしれません。
(むろん、のっけからの他者任せでは信用が失墜しますけど)
しかし物理的な面において、意地っ張りでは不必要な怪我につながりかねません。
その代わり定期的にガサ入れしてちらかりまくった資材を片付けて管理したり、細やかな人間関係への気配りはやはり女のほうが向いている場合もあります。
まぁ、この点に限ってはあくまで個々の性格の問題であり、性別などは傾向の話です。
◇
組織が上手く回るのに必要なのは、くだらないプライドにとらわれないこと、そして、案外きれいごととして一蹴されがちな、思いやりと感謝を惜しみなく口に出す精神だったりするのじゃないかなと。
これをぜひ新人研修に盛り込んでほしいものです。。
どうにも、男女問わず「自分ばっかりやっていてもうこりごり!誰も気づいてくれない!」と感情が大爆発してしまうまで我慢してしまう人が増えている気がします。。
(メガンテで大被害)
もっと早くどうにかならなかったのかいな、、?といつも思うのですが、
「責任感の強い性分だから無理してしまった」と言われると「はい。では皆で対策を考えましょう。今度からは無理せず」としか言いようがありません。
しかし結果として、ロスや軋轢が生まれるというわけでー
メガンテなんて現場では通用しません。
砕け散ったあとも関係は続くから。
大事なのは壊す前に問題点を伝えて、組み直すことです。
厳しいことかもしれませんが、組織に身を置く以上、意識的に訓練しなくちゃなりません。
自分の尊厳は、自分にしか守れないのだと思います。
◇
女は潜在的に痛みや不調と戦っているんです。
しかも、それは厄介なことに、表面上からはわからないのです。
(女性、特にお母さんを無条件に、特段大事にしないといけない理由の一つです。それを心掛ける側は男女問わず、の話です)
減るものじゃないことがほとんどなのですから、適切に助けを求め、また気分よく手を差し伸べ合いたいものです。
それこそ夢想家と一笑に付されそうですけど、自分は書いておきます。
それと、歪んだフェミ観を拗らせた方には、一度これくらいの男女比の現場で体を張って働いてみては、と常々思います。
自分の実際の力量と周囲に与える影響力のちっぽけさに気づくことでしょう。