印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

【動画】印象ラジオ ドラマパート #1ー笑う女神とエクソシズム

ドラマパート始動しております。

日常と非日常の交錯する、印象ラジオの世界、覗いてみてください。



◇動画

youtu.be


◇全文

やぁ、久しぶり。


今日の担当は僕、Crossだ。

すごいな。こうも訪問者が多いとは思わなかった。


そういや、Clariceはどんな話をしてくれたんだい?

え?基本、仕事の、愚痴だって。

どうしようもないやつだな、まったく。


僕はそうはならんよ。
生産性のないことに時間を割くことはしない。



ま、こうしてせっかく足を運んでくれたんだ。


僕のエクソシズムの話をしてあげよう。



年末のことだ。

僕は、とある工業地帯に潜入捜査していた。

その現場はまるで人が足りず、僕も機械を動かしていたんだ。

ま、僕は機械いじりが得意な質でね。

産業革命に翻弄された身だから。
・・・おっと、冗談だよ。本気にするな。


機械仕掛けのからくりなど大抵は応用でなんとかなる。


そうこうしていると、同僚がふと言った。

「何度消しても変な油じみが浮かんでくる、と」


僕が振り返ると、同僚の手にはまさに今、僕の機械から排出されたばかりの

とある部品があったんだ。

そして、そこに何やら油じみで模様がー微笑む猫のような模様が
くっきり浮かび上がっているというんだ。


僕は言ったね。

「またまた、だいぶ来てますね。お疲れなんでしょう」と。


それから言ったよ。

「人間の脳は、点がみっつあれば、それを顔と認識するんですよ」とね。

おそらく防衛本能の一種だと考えるよ。

敵を瞬時に察知するためのね。


しかし、そんな考えも吹き飛んだね。

同僚はそれを僕に見せてきた。

僕は心底、驚いたね。

確かにそれは、メッセンジャーに見えたのだ。

笑う猫だった。そしてその頭は馬の身体にくっついていたのだ。

そしてその周りに、古代文字のような文様が踊っていた。


僕の書いた絵を見せてあげよう。こんな感じだった。

何かの図柄が偶然写ったのかと思ったのだが、そのような仕組みのない機械だ。

「奇跡」のようなものとしかいいようがない。



しかも、同僚が驚いたことには、これが拭いても拭いても

また浮かび上がってくるんだ。猫の微笑みが。



まるでルイスキャロルのチェシャ猫だ。

不思議だろう。


同僚は言ったね。

「これは、年末にかけて酷使しすぎたこの機械の神が

何か我々に訴えかけているのではないか」とね。


僕は焦った。

なぜかって、僕は年末、その気分屋の機械のことを、心の中でぽんこつと罵っていたから。

そのテの機械に自信のある僕もだいぶキテいたんだ。


機械に神など宿るはずがないと、思うだろう。

しかし、東洋の島国では「ヤオヨロズの神」を崇めるという信仰の形があるそうじゃないか。

森羅万象のものに神が宿るという観念だ。


東洋の神秘だね。


まぁ、そのような「アニミズム」が機械にも適用されたとておかしなことではあるまい。

これは、ラテン語のanimaという語に由来する。

animaは霊魂や生命という意味の言葉だ。

それらが、生物だけでなく無機物すべてのもののなかに宿るとされる考えもあるらしいからね。


しかし、その仮定に立てば、これはとても意味のある顕現だったのではないだろうか。

僕には、猫の神といえば思い当たる節があった。

大英博物館に所蔵された、古代エジプトのバステト神の像だ。

僕は趣味でよく美術や骨董を見るんだよ。


そして、半身が馬というのは、なんだ。

ギリシャ神話のケンタウロスだろうか。


何かの伏線でなければいいが。
ま、今のところ何も起きていない。様子見だ。

何か不穏な動きがあればいつでもエクソシズムする準備は整っている。

僕は、組織に雇われた職業エクソシストとして各地に派遣されたりもする。


太陽神ラーが崇められていた時代、

バステトは人間を、病や悪霊から守る守護神として信仰されていたが、

初期のころは人を罰する女神として恐れられていたのだ。


油断はできない。


そして、今年だ。

今、僕は部下にその厄介なメカの使い方を伝授している。

潜入捜査のつもりが、すっかり板についてきたよ。


部下はイレギュラーばかり起こすメカに、すっかり混乱していた。

「これは厄介だ。規則性がない現象ばかり起こすじゃないか」と、ね。


それに対し僕は言った。

「確かにそうだ。しかし、癖を熟知すれば強力な力を発揮すると」

この暴れ馬を、いや、ご機嫌斜めな小猫ちゃんを丁重に扱えとね。



部下は、僕の変わった言い回しを面白がっていたよ。

これは、先日「本当に」あったことだ。


だから、僕は年始早々忙しいんだ。

小猫ちゃんの女神が暴走しないように、

部下が安全に操作できるまで守ってやらねばなるまい。


何度でも言っておくが、これは潜入捜査で、中央からの任務の一環だ。

僕は自称ワーカホリックとわめいているClariceとはちがうからな。

自分の意志で、行動している。

そこだけは勘違いしないでくれ。


それでは、そろそろお開きとしようかな。

訪問してくれたこと、感謝するよ。


Clariceにも引き継ぎの報告をしておく。

ではね。また来てくれ。

◇あとがき

年末の激務中でしたから、この些細な事件は娯楽に飢えていた我々にとって
とてつもなく奇妙で楽しい出来事でした。

お腹が痛くなるほど笑いました。たぶん頭のネジがとんでいたのだと思います。


あと今回の動画は情報量が多いので、テロップをつけてみましたが、

発狂するかと思いました。たぶんもうやりません。

定期更新されるYoutuberの方々の根気はすごいと思いました。




今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
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