印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

あの日のマルタ旅行記 #4

マルタ共和国エッセイ風旅行記の続き。


マルタ共和国は、淡路島の半分ほどの大きさの島国だと言われている。

日本との時差は8時間。

今更だが、位置確認をば。

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滞在3日目、フェリーでゴゾ島へ行く。

本島とは離れた、さらにのどかな島だ。

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滞在していたスリーマのホテルにて朝食を済ませ、港行のバスに乗る。

このバスにて、小・中学生くらいの学生集団と一緒になる。一緒になって遠足気分だった。

賑やかな出発。

1時間ほどバスに揺られ、本島の北端のチェルケウアを目指す。


港からはフェリーに乗船。

距離にして5キロ。約30分の船旅だった。

船内には売店などの設備もあったようだが、ずっと甲板にいた。

そこで、日本人観光客の御一行に出会った。

老夫婦が多く、なんと素敵な旅であろうかと羨ましく思った。

そこでは、元教員だというおじさんと話した。数日ぶりに日本語が通じるって素敵なことかな。



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◇首都ヴィクトリア(ラバト)

ゴゾ島では、中心のヴィクトリアの丘にあるチタデル(大城塞)へ行った。


ゴゾ大聖堂は、石灰岩でできた外観。

正面の立派なバロック様式ファサードが見どころ。


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階段が伸び、街全体に敷かれた地の色と建物が続いていると感じた。

前日に訪れた静寂の街イムディーナと同じく、この城塞内も静寂に包まれている。

陽光は燦燦と降りそそいでいた。


そのとき、私は何故か無性に焦り始めた。

まったく、この空間は何なのだと。まるで箱庭そのものだった。

こんなに時の滞留した(ように感じさせる)世界を、私は知らなかった。

ゴゾは、その歴史の中で幾度もトルコ軍や海賊の襲来に見舞われたという。
そのたび、島民は奴隷として連れ去られたのだとか。

陽光と静寂の街のなかで、私は何かにあてられたようになっていた。


遠くで鐘が鳴っていた。



大聖堂の記憶は、すっぱり抜け落ちている。

ここに来てから絢爛豪華な大聖堂をいくつも見て、自分の記憶のキャパをすでに大きく越えていた。笑


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↓(記憶がなかったから、今調べた)
天井絵のトロンプルイユ(騙し絵)が見どころらしい。

ドームがのる予定だったが、資金不足により内装の騙し絵でドームがのっているかのように見せかけたのだとか。

◇アズールウィンドウ

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午後より、海の景観を見るためにヴィクトリアからバスで西へ約15分。

風と波の浸食が生んだアーチである。


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周辺の風景。何と形容するの、この気持ち。


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売店の前で腰かけ、アコーディオンを鳴らすおじさんがいた。

アコーディオンの音色って平和でいいよねぇ。

我々は、何をするわけでもなく、海辺に座ってぼーっとしていた。


「なんか逆に焦ってきた。ここにずっといたら脳溶ける。帰って卒論の研究しないとな~」


滞留する時の流れのなかで、日本に帰ったら我々を待っている西洋史研究について、思いをはせた。

この頃、私はイギリス19世紀のロマン主義に照準を当てていた。しかし、行き詰ってもいた。


ここで身に染みた教訓だ。

あらゆることに疲弊したら、時間を忘れるくらい遠くへ旅に出るとよい。

人生観がリセットされる。


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◇スリーマにて 晩餐

再び、フェリーに乗って帰ってきた。

ゴゾ島・ヴィクトリアの東にあるジュガンティーヤ神殿という巨石神殿にも行くつもりだったのだが、なにしろ疲れていた。

行きのフェリーで知り合った元教師のFさんと、夜ご飯を一緒に食べようと約束していたので、そのレストランに向かった。

長らく忘れていたが、ガイドブックを引っ張り出して思い出した。

ここだ。

Ta' Kris Restaurant Malta – Order your Food or Book Online from Ta' Kris, Malta


地元のレストランといった感じだった。海鮮がウリ。

路地裏にあり、少し入りづらい雰囲気だったが、ガイドブックにもおすすめだと書いてあった。


ご飯に誘ってくださったFさんは教員退職後、学生のガイドなどをしていたのだとか。

「日本でさぁ、安倍総理辞任するって噂立ってるよねぇ」

なんか、マルタでは変な噂がたっていた( ´∀` )
あくまで日本人客の中で流行っていた噂だった。


白ワインに、タコのパスタに。

私はお酒に強くないので、アイリスちゃんに任せていた。


この日の晩餐が旅行中で最も豪勢なご飯だった。

「海外に来てチェーン店なんか行くのは邪道だよ。やっぱ現地のものを食べなきゃ」とFさん。

すみません、現地のスーパーやキオスクで済ませてました笑

塩野七生さんの本の話をした覚えがある。ファンなので嬉しかった。

本の舞台に近い地で、その話ができたのが。


政権の話に代わると、私はさっぱりだったので(おい)、アイリスちゃんに話を代わってもらい、会話を聞きながらもりもり食べた。

すっかりごちそうになってしまい、Fさんは「おやすみなさーい」と去っていった。

Fさんは、確かスリーマから海沿いに続く隣町、セント・ジュリアンに宿泊していると聞いた。
そちらはディスコやカジノのある賑やかな町らしかった。


しがない学生である私たちには、食の面でこの旅のハイライト的な一日であった。

退職後に、海外を飛び回るFさんは輝いて見えた。




今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!(^^♪
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