先日、会社で耳栓を支給された。
ついに認めるときが来てしまったか。
相当な騒音のなかで、業務をしているという事実。
「これ、人の声も聞こえないんでしょうか」
「人の声は聞こえる仕様になってるから大丈夫!」
そんな作りなの!
この日、耳栓というものを初めて手にした。
失くさないように左右がビニールの線で繋がっている。
ああなるほど。首に引っ掛けるんだ。
試しに装着してみた。
すると、どうだろう。
聞こえる。
耳栓など突き抜けて、機械の稼働音。
意味ないじゃないの!!!
しかも、音が余計にこもって、ぼわぁぁぁぁんと。
水の中を潜った時のような感覚で、非常に気が散る。
なんか、深海にいるような。落ち着かない。
人の声が遠くにかすかに聴こえる。
聴力を封じることで、五感のすべてが鈍くなったような気がする。
自我が薄れて、夢の中にいるような。。
となると、自分の悪い空想癖が出てくる。
騒音のひどいメトロポリス。
そのビル群の間をぬって宙を泳ぐグロテスクな深海魚。
ネオンと光のない深海世界が混じりあって溶けて。
ほんの一瞬の出来事。はっと我に返る。
これはだめだ、耳栓を外して引出しに放り込んだ。
そういえば、もっと現場寄りの現場(?)にいる同期に聞いたことがある。
耳栓とかしてる?
してない。上司の指示聞こえないもん。
よく気がおかしくなんないね。
いや、慣れかな。でも、聴力落ちてる気がする。
困るなぁ。
当分はいいけど、長い目で見てどうなんだろか。
これが、労働ということか?
それとこれとは、別問題な気もするのだけど。