印象をただよう告解部屋

キラリと思い浮かんだことあれこれ

エキゾチズムの香りがただよう、詩人マックス・ダウテンダイが結ぶヴュルツブルクと大津の絆

ドイツ、ヴュルツブルク生まれの詩人、マックス・ダウテンダイ
Max Dauthendey(1869-1918)をご存じですか。
私が、最近知ってから、大好きになった詩人です。

代表作は『紫外線』(1893)。
神秘的な東洋風の詩を多く残し、第一次大戦中、旅先のジャワでマラリアに感染しその生涯を終えました。

彼の詩を何篇か読み、静かな印象主義的抒情詩がとても美しいと感じました。
そのなかの一つを小沢章友さんの訳で紹介します。

「真珠」(1910年頃・ドイツ)

わたしたちは
海辺を
遠くまで歩いていきました
手に手を取って
足が重くなり
海が
とほうもなく大きくなり
わたしたちは
一歩ごとに
小さくなっていきました

いつかしら
わたしたちは
とても小さくなっていきました

いつかしら
わたしたちは
とても小さなものになり
ひとつの貝殻のなかに
入っていきました

わたしたちは
真珠のように
深い眠りにつきました

時を忘れて
真珠のように
美しく
眠り続けるのです……

実業之日本社『読まずに死ねない世界の名詩50編』(2017)より)

この空想あふれる詩がきっかけで、興味を持ちました。
そこで、ダウテンダイについて調べてみると、とても日本と馴染み深い方だということで、不思議な縁を感じました。

こちらの写真の地が、その鍵となっています。
f:id:Lavandula-pinnata:20200620222829j:plain

これは、私も大好きで何度も訪れたことのある、琵琶湖周辺の景色です。

ダウテンダイは、その生涯を旅に捧げ、数々の詩、小説、旅行記を執筆しました。
特に東洋をこよなく愛し、日本を訪れた際には、琵琶湖に関する文である『琵琶湖八景』 Die acht Gesichter am Biwaseeを残しています。

滋賀県大津市には、「ヴュルツブルク通り(Würzburg straße)」というものが大津市役所の近くにありまして、車で通る際など何故ここにドイツの通り名があるのか…と疑問に思っていました。

ですが、ダウテンダイの詩との出会いで偶然にも謎が解けました。

なんと、ダウテンダイの『琵琶湖八景』の縁で、ドイツのヴュルツブルク市大津市と1979年2月13日に姉妹都市になっていたそうです。
ドイツの伝統的なつくりの街灯とベンチを寄贈してもらい、それらを設置した通りを「ヴュルツブルク通り(Würzburg straße)」としたんだとか。

そして琵琶湖湖岸に位置する、なぎさ公園には「ヴュルツブルクハウス」という国際交流施設があり、ドイツ料理レストランとして民間運営されています。
ものすごく行きたくなりました!
www.wurzburg.jp

ちなみに本場であるドイツのヴュルツブルクには大津通り「Otsu straße(大津通り)」があるそうです。

けっこう興味深い歴史だと思ったのですが、ダウテンダイの詩のことは、あまりネットで調べても出てこないため、風化し始めているのかな、と思いました。

f:id:Lavandula-pinnata:20200626114606j:plain

ダウテンダイの詩は、日本人の感性に訴えかけるものがある気がします。
あまり日本語に翻訳されていないのが非常に残念。
もっと再発見されてほしい作家の一人です。

では、今日はこのあたりで。
最後まで読んでくださりありがとうございました(^^♪


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